第62回日本人間ドック学会学術大会のプレナリーセッションで優秀発表賞に選ばれました

第62回日本人間ドック学会学術大会のプレナリーセッションにおいて当社の発表は優秀発表賞に選ばれました。 なお、本発表にあるLC-MS/MSを用いたMCIスクリーニング検査は「MCIスクリーニング検査プラス」としてリリース予定です。

演題名:軽度認知障害(MCI)およびアルツハイマー病のための血漿タンパク質LC-MS/MSスクリーニング検査の開発
井上 真 *,目野 浩二 *,鈴木 秀昭 *,伊藤 ひとみ *,劉 珊 *,松川 則之,朝田 隆,新井 哲明,内田和彦 *
(*当社の研究員)

■発表の概要

【目的】
認知症の予防のためには、臨床症状が現れる前にその兆候を検出するスクリーニング検査が必要である。
我々はこれまでに複数の血液中のタンパク質を用いたバイオマーカーを報告しており1,2)、 血清中ApoA1,TTR,C3を測定する「MCIスクリーニング検査」として実用化している。
本研究では、複数の血漿タンパク質を同時に測定するLC-MS/MSを用いて、 より優れたスクリーニング検査の開発と実用化を目指した。

【方法】
45種類の血漿タンパク質についてLC-MS/MS (MRM)(島津製作所LCMS-8060)による定量系を構築し、 定量した結果をもとに、多項ロジスティック回帰とROC分析を行い、 認知機能健常とMCIおよびADを識別する血漿タンパク質とその組み合わせについて解析した。

【結果】
認知機能健常とMCIおよびADを識別するバイオマーカーとして、免疫系、凝固線溶系、脂質代謝、栄養に関連した8種類のタンパク質が見つかった。
これらの血漿タンパク質を用いて、 ROC分析におけるAUC値は、0.82(感度85%、特異度67%)である健常と認知機能障害(MCI or AD)を識別する判定モデルが構築できた。
さらに、これらの血漿中のバイオマーカータンパク質の組み合わせによる判定値は、認知機能低下の重症度と相関していることが判明した。

【結論】
以上の研究をもとに、免疫系、凝固線溶系、脂質代謝、栄養に関連した8種類の血漿タンパク質の組み合わせによるLC-MS/MS検査を開発した。
この検査は早期の認知機能低下の兆候とその進行度が検出可能であり、健診などにおけるスクリーニング検査として有用と考えられる。

1.Lui S, Uchida K, et al. Alzheimers Dement (Amst) 11:85-97 (2019)
2.Uchida K, Lui S, et al. Alzheimers Dement (Amst) 1:270-280 (2015)

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